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【予習編】『海よりもまだ深く』公開!是枝裕和監督特集!

【予習編】『海よりもまだ深く』公開!是枝裕和監督特集!

【予習編】『海よりもまだ深く』公開!是枝裕和監督特集!


どうも、ジャン黒糖です。
今日は是枝監督最新作『海よりもまだ深く』公開にあわせて是枝裕和監督作品特集!!をお送りしたいと思います。

是枝裕和監督とは

まずは簡単にざっとプロフィールとこれまでのフィルモグラフィーを紹介します。

是枝裕和さん。1962年の6月6日生まれ、現在53歳の映画監督です。
生まれは東京都練馬区ですが、9歳の頃から東京都清瀬市で育ちます。
この清瀬市にある旭が丘団地は、監督ご自身が9歳から28歳まで住んでいた場所で、今回の映画『海よりもまだ深く』の撮影場所としても使われています。

是枝監督のキャリアの始まりは実はいきなり映画ではなく、テレビ番組制作でした。
テレビ制作会社テレビマンユニオンに勤め(2014年に退社後、制作集団「株式会社 分福」を設立)、番組ADやドキュメンタリー番組の演出家を担当をし、数々のドキュメンタリー番組を製作しました。
その後、33歳の時に宮本輝原作×江角マキコ主演映画『幻の光』(1995年)にて映画監督デビューをします。

幻の光 映画

本作はイタリアで毎年開催されるヴェネツィア国際映画祭で金オゼッラ賞を受賞するなど、デビュー早々海外でも高く評価されました。そんな彼の劇場公開映画のフィルモグラフィーは以下の通りです。

『幻の光』(1995年)
『ワンダフル・ライフ』(1999年)
『DISTANCE』(2001年)
『誰も知らない』(2004年)
『花よりもなほ』(2006年)
『歩いても 歩いても』(2008年)
『大丈夫であるように -Cocco 終らない旅-』(2008年)※ドキュメンタリー映画
『空気人形』(2009年)
『奇跡』(2011年)
『そして父になる』(2013年)
『海街diary』(2015年)
『海よりもまだ深く』(2016年)

ドキュメンタリー風演出

是枝監督の作品によく言われる共通点の一つに、とても演技とは思えないドキュメンタリー風な演技・演出が挙げられます。
その代表として初期作品、『ワンダフルライフ』『DISTANCE』『誰も知らない』などは役者陣の多くに台本を渡さず、簡単な状況設定を行なった上で撮る、いわばドキュメンタリーさながらの手法を映画というフィクションの世界にぶつけ、結果各キャラに対して演技を超えた魅力をもたらし、台本に即しているだけでは出ない自然な会話劇を演出しています。

元々、是枝監督自身が映画監督になる前に経験したテレビのドキュメンタリー番組等の演出の影響もあってか、こうしたバッググラウンドが映画に対する演出にも如実に現れているのだろうと思います。

たとえばARATAの映画初主演映画『ワンダフルライフ』では死んだ人が現世からあの世に行くまでの7日間に、自分の人生で特に残っている思い出をフィルムに残すため、インタビューを行うといういかにもフィクションな場面が多く出てくるのですが、そこで語られるものは一部役者を除いては各役者自身の実体験を元にしていたりするため、演技では見えない人物の親しみ・魅力が色濃く反映されています。

ワンダフルライフ 映画

この、ドキュメンタリー手法とフィクション世界の衝突は、続く『DISTANCE』『誰も知らない』にも引き継がれ、是枝監督の代表作『誰も知らない』ではタレントのYouさんと子役に対しては台本を渡さず簡単な状況設定のみ説明して演じさせているそうです。
Youさんやお笑い芸人が是枝作品に出演することはよくあることですが、彼らに台本を渡さない理由として是枝監督は「タレントさんやお笑い芸人さんはお芝居のプロではないので、変に芝居がかった演技をしてもらうより、アドリブ芝居をしてもらった方が良い演技が引き出せる」とかつてインタビューで語っていました。
(その点、演技経験があるとはいえ『そして父になる』で福山雅治さんを起用したのは異例ですね)

特に、カンヌ国際映画祭で若干14歳にして主演男優賞を受賞した柳楽優弥をはじめとする子役の演技はもういま観てもやっぱり演技とは思えない凄みみたいなのがありますよね。
柳楽優弥の当時若干10歳にして眼力のある、だけれどまだ幼い演技の素晴らしさは当然のことながら、次男の茂くんの小憎たらしい自由さ加減がいかにも「こいつ次男っぺー!!!」って雰囲気が出ていて子役演出が素晴らしいなと感嘆しました。

誰も知らない 映画

この、子役演技の匠の技はその後、お笑い芸人まえだまえだの2人を主演に、両親の離婚によって別れた兄弟の再会を描いた『奇跡』でも継承され、お笑い出身ならではのアドリブに強い芸達者ぶりはもちろんのこと、まだまだ未成熟な子供ならではのあどけなさも相まって”子どもたちのひと夏物語”としてとても好きな作品です。

奇跡

この演出方法は前作『海街diary』の広瀬すずへの演技演出にも行なわれ、さらには今度の最新作『海よりもまだ深く』でも主人公の息子、真悟役の子役には台本を渡さずに演技をさせたとのことで、是枝メソッドはもはや匠の技ですね~。

家族というモチーフ

是枝作品に共通するもうひとつの要素として”家族”が挙げられます。
監督デビュー作『幻の光』では、夫を失った妻の喪失から再生までが描かれ、”時代劇”という是枝作品の中でも劇映画色の強い『花よりもなほ』では仇討を誓った決して刀を抜かない岡田准一演じる武士や、夫に先立たれた宮沢りえ演じる未亡人、最愛の人物を失った加瀬亮演じる流浪人など、長屋の貧しくも生きる様々な家族の形を優しい視点で描いております。
他にも挙げればキリが無いのですが、是枝作品にはこのように一貫して”家族”が作品のモチーフとして多いです。

特に(是枝作品の中でもかなりの偏愛を描いた映画『空気人形』は若干の例外として)『歩いても 歩いても』以降、『奇跡』『そして父になる』『海街diary』、そして最新作『海よりもまだ深く』と、”家族”という最小単位のコミュニティに対してよりクローズアップさせた作品が目立つようになっていきました。

そのため、よく家族を描いた作品が多いコトに加え、海外の映画人からも評価が高いコトから、『東京物語』『秋刀魚物語』などで知られる名匠・小津安二郎監督と比較されることのある是枝監督ですが、小津作品と是枝作品に見られる”家族”への視点、作品へのアプローチは正直かなり異なると思います。

小津作品で描かれる”家族”は家族のいる間であったり、ライフスタイルであったり、といわばパッケージ化された”家族”がとても魅力的に描かれている、というのが私個人の私見なのですが、一方の是枝作品で描かれる”家族”というのはひとつひとつの何気ない会話であったり、登場人物ひとりひとりのクセ、仕草など、ディテールにこそ魅力があるように思います。

たとえば『歩いても 歩いても』では阿部寛演じる主人公・良多の亡くなった兄の命日に家族全員が集まって会話を繰り広げるシーンや、夏川結衣演じる良多の再婚相手・が樹木希林演じる母から着物を頂くシーンの、本人はイヤミ無く言ったつもりの一言がもう一方の立場からするとキツい一言として堪える場面など、日本人らしい気遣いと、悪気の無い中に存在する棘のある言葉が一見笑えるのにもはやホラーの域に達している恐ろしい作品となっていました。笑

歩いても歩いても 映画

また、『海街diary』では実父が亡くなったことをきっかけに腹違いの妹と共同生活を過ごすことになり、四季を通して変化する関係性、姉妹が家族とどう向き合うかという姿が描かれるのですが、食卓を囲っての長女・次女の喧嘩や、縁側での梅にまつわる会話など、リアルな会話が繰り広げられます。

海街ダイアリー 映画

姉妹と一緒に住むようになった四女のすず役を演じた広瀬すずは、上述の通り、是枝メソッドの台本を渡さないで演技をさせる演出を行なっていることもあって、よりドキュメンタリックゆえの自然な演技を醸し出していて、家族の思わず「あるある」と頷いてしまう細かなディテールの魅力を感じさせ、演じる彼女らのドキュメンタリックな演技が見事なのはもちろんのこと、(漫画原作ということもあってか)フィクショナルな映画ならではの魅力に溢れた作品に仕上がっており、かつての是枝監督作品は”ドキュメンタリー手法とフィクション世界をぶつけ合う作品”が多いイメージがあったのですが、特に前作の『そして父になる』以降、もはや”ぶつけ合い”ではなく、”融合”だなぁと思いました。それぐらい両者の要素が上手く溶け合っていました。
結果、本作は私にとっての2015年観た映画ランキングベスト5位とさせて頂きました。
ただこれ、意外や意外。いまやすっかり視聴者の嫌われ者感のあるフジテレビ制作映画ですからね!!笑

さて、小津作品と是枝作品に見られるこの”家族”の捉え方の違いは何か、考えてみたのですがおそらくは上述の通り、是枝監督がドキュメンタリー出身であることが大きいように思えます。

ドキュメンタリーは膨大に貯めたフィルム(=具体)の中から監督自身の考え(=テーマ)に基づいて編集を行うものと私自身捉えているのですが、是枝作品で描かれる”家族”には一見物語の筋には関係の無いように見える家族の会話や各キャラの仕草・クセといった、ドキュメンタリーで行われるような具体の積み重ね(のように見える)が劇映画にリアリティをもって魅力となっているのではないかと思うんですね。

今度の最新作『海よりもまだ深く』は、元々前作『海街diary』後に撮影する予定だったところ、ある程度映画化するためのアイデアが固まってきたことに加え、『海街diary』とセットで制作することで2本の作品を是枝監督自身の中でより整理して描けるようになるのではと思い、ほぼ並行して脚本を作り、『海街diary』の夏編を撮るまでの空いた時期に撮影を行なったそうです。
このことからも、『海よりもまだ深く』は『海街diary』とセットにして観るのも楽しいのではないかな、と思うのですが、果たして今回はどのような”家族”を描いた作品になっているか、楽しみですね。

”良多”という人物

今回、予習として監督の過去作品を観直して気付いたのですが、是枝監督のオリジナル脚本作品である『歩いても 歩いても』『そして父になる』、ドラマも含めると阿部寛主演ドラマ『ゴーイング・マイ・ホーム』、そして最新作『海よりもまだ深く』の4作品に共通することとして、いずれの作品も主人公の名前が”良多”なんですよね~。

ゴーイングマイホーム

監督自身はインタビューなどで良多の名前を主人公にすることについて、「名前を毎回考えるのが面倒だから」と応えているのを見て意図して名前を付けているとかでは無いと思うのですが、それぞれの人物描写に違いはありつつも、いずれの良多にも共通しているのが両親、特に父親に対して何かしらのコンプレックスを抱えながらも自分自身”父”としての責務において何かしらの欠陥がある、ということが挙げられるかと思います。

『歩いても 歩いても』では家族にとって自慢だったけれど事故で亡くなってしまった兄の存在に何かと比べられ、再婚相手の連れ子にはなかなか”父”と認めてもらえない良多、『そして父になる』では親の力を借りずとも自分の力によって仕事も家庭も上手くやってきたけれど「子供の取り違い」という信じ難い事態を前に、親としてのあり方・家族としての本当のあるべき姿は何か苦悩・葛藤する良多。

そして父になる 映画

このように、”良多”という人物は是枝作品に共通するいわば父親のメタファーとして描かれることが多いと思うんですね。
以前、ブリー・ラーソン主演の感動作『ルーム』を評した際、母子関係を描いた作品に比べ、父親を描く作品には親としての責任・適正を問う作品が多い、と書いたのですが、この”良多”という存在はまさにそのメタファーといって良いと思います。笑

はい、今回是枝裕和監督特集と称してここまで、これでもちょっと短めに私なりの想いを書いたつもりではあるんですが、いかがだったでしょうか。
個々の作品に対するレビューについては、去年『海街diary』の公開にあわせて雑誌『SWITCH』が是枝監督特集を組んだ際に書かれていた記事が非常に素晴らしいので、気になる方は私のまだブロガーとしては圧倒的に浅い且つ拙い記事よりは、そちらを拝読頂いた方が良いかもしれません。笑

今回、是枝作品にまた新たな”良多”が現れることに加え、是枝監督自身の育った東京都清瀬市にある団地でロケをしたことからも、『海よりもまだ深く』は、『歩いても 歩いても』同様、監督自身にとってよりパーソナルな作品になることが予想されますが、果たしてどんな作品になるんでしょうか。
次回、いよいよ『海よりもまだ深く』鑑賞記録です!

ではでは~。


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