ジャン黒糖の映画あれこれ

『海よりもまだ深く』観ました!”なりたい大人”になることの痛々しさと愛くるしさ

『海よりもまだ深く』観ました!”なりたい大人”になることの痛々しさと愛くるしさ

『海よりもまだ深く』観ました!”なりたい大人”になることの痛々しさと愛くるしさ


どうも、ジャン黒糖です。

前回の【予習編】に引き続き、いよいよ鑑賞記録です。
今回ご紹介する映画は『海よりもまだ深く』です!!

予習編はこちら↓↓↓
【予習編】『海よりもまだ深く』公開!是枝裕和監督特集!

予告編はこちら↓↓↓

公開翌日に渋谷はシネパレスにて朝イチの回を鑑賞してきたのですが、時間帯もあって「やはり」と言っていいのか、高齢の方が多く、適度に笑いも起こっていたりしてすごく良い雰囲気でしたね~。
特に、隣の席のおじさんは朝からビール飲みながらの鑑賞で爆睡してしまい、エンドロール後奥さんに「あんた後半ずっと寝てたでしょう~も~」と呆れ顔で言われ、寝起き早々開口一番に「いや~良い映画だった笑」と冗談返していたのが、映画の温かい雰囲気と相まって凄く良かったです笑
(まぁ寝てしまうのは非常に勿体無かったですが!笑)

毎度ながら高すぎる完成度に思わず「ディズニーか!」

さて、是枝監督の作品はもういまさら言うまでもなく毎度完成度が高すぎて、昨年自分が年間鑑賞した映画ランキングを書いた際にも『海街diary』を観て「撮れば最高傑作更新!」と勝手なキャッチコピーを是枝監督作品に対して僭越ながら書いたのですが(笑)、今回の最新作『海よりもまだ深く』、もうこの一言に尽きます。

「恐れ入りました!!!」

今回、映画鑑賞直後には思わず↓とツイートしたのですが、本当近年のディズニーばりに毎度クオリティの高さに圧倒されちゃいます。

レビューなどを見ると「物語が起こらなすぎる」とか「この内容でわざわざ映画化した意味!」などの意見を散見しまして、たしかに物語は地味ですし、言わんとぞしていることはわからなくもないです。

今回、主演は阿部寛、母親役に樹木希林、その他出演者に『そして父になる』(2013年)のリリー・フランキー、真木よう子、とこれまでの是枝作品にも出演経験のある”THE是枝組”が名を連ねている上に、観る前から気付いた方も多かったと思いますが、映画上のルックも2008年の是枝監督作品『歩いても 歩いても』にかなり近いです。
そのため、まぁそんな意見が出るのもわかります。隣の席のおじさんもビール引っ掛けて寝てましたからね笑

ただ私自身は決してそんなこともないんじゃないかな~思いまして。。。
『歩いても歩いても』が阿鼻叫喚、常にヒリヒリする会話劇だったのに対し、本作は樹木希林やリリー・フランキーらによるアドリブ込みの会話劇がかなり笑える上に、映画の中で描かれるテーマ性も毎度のことながら深く考えされられました。
その上!!今回の映画はこれまでの是枝監督作品に比べても意外な程わかりやすく主人公・良多が実に映画的に愛くるしいキャラをしていて、なのでなんならこれまでの是枝監督作品の中でもかなり楽しめました!

海よりもまだ深く
今回の良多はコミカルで最高でした!

正直、予習編にて書かせて頂いた、是枝メソッドのドキュメンタリー手法と、フィクションたる劇映画的な世界観の融合、という是枝監督映画の主たる特徴に絞っていうと、本作はもうどこからアドリブで、どこまでが台本通りなのか、もはや境目がわかりませんでした。
いや~こんなにも何ら変哲のない普通の庶民の話にもかかわらず、本当是枝監督の映画は抜け目無いな~。ディズニーか!!笑

見事な”映画的”キャラ造形、良多最高!

という訳で上記少し触れましたが、今回の映画『海よりもまだ深く』の主人公・良多は、過去の是枝監督作品の中でも突出してコミカルなキャラ造形で最高でした。
同じ是枝監督作品の『花よりもなほ』(2006年)で岡田准一演じた青木宗左衛門というキャラクターもフィクションということもあって、映画的コミカルな役柄ではありましたが、あいつはちょっとスカしてましたからね。笑
それに比べると本作の良多は、息子や出版社の担当の前では見栄っ張りで、彼が勤める探偵事務所の後輩に対しては先輩風を吹かしてはお金を借り、なのに上司がキレるとヘコヘコうだつが上がらない、というとにかく小物な存在感が、演じる阿部寛という長身とのギャップもあって最高でした。

海よりもまだ深く リリー・フランキー
リリー・フランキー演じる上司の、ヌケ感ありそうで実は一切無い恐ろしさと面白さが絶妙なバランス。

思えば、是枝監督って絶対阿部寛を小さい世界に投入させたがってますよね。笑
『歩いても 歩いても』では狭い風呂に入れさせたり、戸を通過するときにはドラマ『TRICK』の上田竜也バリに頭をぶつけたり、『奇跡』では高身長にもかかわらず小さな小学生の担任教師という身長差の激しさが生徒との距離により妙な印象を与えるカットがあったり、って結構身長活かしたギャグシーンが盛り込まれていますよね。
今回の映画でも団地の古く小さなガス式風呂に入ったり、体の収まらないソファに横になったり、と良多の小物っぷりが際立つ阿部寛の身長を活かした笑いがたくさん詰まってました。

海よりもまだ深く
「ローマでもこんな小さくも機能的なテルマエは無かったぞ!!」※別の映画です。

ただ、そんな良多もただただ小物で周りから嫌われているかというと、そんなことは無く、息子も父のことをちゃんと好きでいるし、池松壮亮演じる事務所の後輩もしょっちゅうお金をたかられつつも良多のことを気にかけるなど、どうしようもない偉そうな先輩にもかかわらずちゃんと先輩として親しまれていて、そこがまた愛くるしい~!笑

海よりもまだ深く 池松壮亮
池松壮亮演じる後輩の、いかにも今時の若手らしい雰囲気と、先輩への親しみが良い。

そんな良多が、公開からお金を借りてまで仕事を抜けだして観に行った競輪に行く場面で、自分が賭けた選手に対して「勝負しろよ~!勝負を~!」と吠えるシーンがあるのですが、その言葉はそっくりそのまま、これまで”勝負”に向き合いきれていなかった良多自身に当てはまり、観ている側としてもクスっとしつつも身につまされました。

海よりもまだ深く

他にも息子との月1回のお出かけで野球のためのスパイクを買いに行くシーンや、モスでの食事シーン、行方不明のペットを探す貼り紙を貼るときの体に貼ったテープなど、挙げればキリが無いほど、とにかくこの良多というキャラクターには愛くるしいシーンがたくさん詰まっていて、是枝監督作品の中でも一番好きなキャラクターになりました。

海よりもまだ深く

「なりたい大人」になるということ

本作にて観られる自然な会話の中には、樹木希林の「幸せを手に入れるには何かを犠牲にしなくちゃならないのよ」をはじめ、阿部寛の「大切なのは夢を叶えた結果じゃなくて、それを目指し続ける気持ちなんじゃないのか?」など、「なりたい大人」になるということの難しさと愛くるしさが伝わる良いセリフがたくさんありました。
もう樹木希林に限っては彼女が何か言うだけで、たとえ大したコトでなくとも何か人生の凄く深い話を聞いたかのような感情を受けますね。笑

海よりもまだ深く

思えば本作に出る登場人物のそのほとんどが、かつて思い描いていた「なりたい大人」通りには必ずしもなれていないんですよね。
小説家としての夢も良き父親としての理想像も上手く行かない主人公・良多に限らず、樹木希林演じる母親の亡くなった夫との関係や、真木よう子演じる元妻の将来、息子のなかなか言いにくい本当にやりたいこと、など、誰もが現状とは違う何かを求めていたり、行動に起こしていたりしているんです。
なんなら母と同じ団地に住む橋爪功演じるおじさんでさえも、団地に住む同年代の方々を読んでクラシックを聴く会を開くなど、一見知性的で魅力的な人生を歩んでいるように見えるものの、裏では娘との関係がギクシャクしているであろうことを示唆するシーンがあり、誰しもが思い描いた通りには行っていないんですね。

海よりもまだ深く

ただ、この映画はそれらひとつひとつに対して「どうなるべきか」を整理して見せる訳でもなければ、「なれなかったいまだからこそ何をすべきか」を説教臭く見せる訳でもない。
この思い描いていた「なりたい大人」とは異なる人生を歩みながらも、過去の「なりたい大人」に誰よりも執着しているのが良多なんですが、そんな彼でも終盤、夜の公園で話す元妻との会話でついに思い描いていた「なりたい大人」にはなれないことを悟る(悟っていた?)ある展開が出てきて、ここが凄く自然で、まだまだ夢を追っていたい年頃の自分としては泣きそうなりましたよ~。

海よりもまだ深く

ただ、かつて思い描いていた通りの大人になれなかったとしても、人生決して悪いことばかりではないということを、実家のベランダで母が育てている良多のトマトの木にまつわる”ある話”で、暗に示すのですが、非常に自然と描いていてサラリと良かったですね~。

海よりもまだ深く

というようにですね、本作は多くのことがとても自然に行なわれるため、上述の、かつて結婚していた頃(それもおそらくは上手く父親をやれなかった)のように良多が息子の面倒を見るのは別れた今となっては困難であると現実を知る場面でさえも非常に自然で、その現実を知る突き放し方もとても温かいんですよ。

前回の予習編にて、本作とほぼ同時並行で制作したという是枝監督の前作『海街diary』とセットで観ては楽しめるのでは、的なことを書いたのですが前作が姉妹各々が思う”家族”の理想に対してなんとか形を保とうと努力をする、言うなれば「思わず背筋がピシっとなる」映画であるとすれば、本作はその真逆を行く、理想を今更追いかけても夢や大切なモノはどんどん遠くに行ってしまう現実を前に「背中が丸くなっていく」映画ではないでしょうか。

海よりもまだ深く

ただ、本作はダメダメな人生を送る良多でさえも、人生何か良いことはある、ということをトマトの木にまつわる”ある話”や、質屋の”硯”の場面など、とても自然と、だけど温かく背中を押すように教えてくれ、本当映画的に何か劇的なコトが起こるような映画じゃないにも関わらず、観終わった後「上手くいかないこともあるけれど、今日も頑張ろう」と思わず元気になりました。

他にも、阿部寛・樹木希林の親子コンビの演技が最高なのはもちろんのこと、リリー・フランキーの油断すると恐ろしい上司っぷりや今回是枝監督作品初参加となった池松壮亮の後輩感、小林聡美のいかにも姉っぽい感じ、などその他役者陣の演技が素晴らしかったですし、阿部寛の小物ぶりが観られる食事シーンも最高に笑えますし、毎度のことながらパンフレットはコラムに対談にととても読み応えのある内容となっているし、ととにかく他にも語りたくなるコトがたくさんあるのですが、ちょっとそれら全てを言及するとページがかなり膨大なるので最後に1点だけ!笑

この映画の主題歌ハナレグミの「深呼吸」という曲が切なくも温かいメロディで、映画の雰囲気にマッチしていてとても良かったのですが、この「深呼吸」のミュージック・ビデオが今回の映画『海よりもまだ深く』のアナザーストーリーみたいになっていて、こちらも良かったのでshort ver.ですが貼っておきますね。

今年は邦画・洋画共に気合の入った話題作・超大作が目白押しですが、肩の力を抜いて本作を観てみるのもいかがでしょうか。
私個人的にはとても楽しめました。おすすめです!

ではでは~。


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