ジャン黒糖の映画あれこれ

『ボーダーライン』観ました!観る者の”ボーダー”を問う傑作!

『ボーダーライン』観ました!観る者の”ボーダー”を問う傑作!

『ボーダーライン』観ました!観る者の”ボーダー”を問う傑作!


どうも、ジャン黒糖です。

前回、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督映画特集をつらつらと書きましたが、今回はいよいよ観ましたの感想をと。
本当は公開初日に1度、翌週2度鑑賞していて実はブログを書くまでにだいぶ間空いてしまったのですが…。笑

いや〜撮影、音楽、演技すべてがよかったですね〜。
今回『ボーダーライン』の予告編を見て、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品の『複製された男』(2013年)などで観たようなトリッキーな作品はもう見れないのかな、とセルアウト化あるあるを懸念していたのですが、実際観終わってみるとさすがはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督!恐れ入りました〜…!!

予告編はこちら↓↓↓

邦題『ボーダーライン』が観客に突き付ける”ボーダー”

本作の原題は『Sicario(暗殺者の意味)』で劇中にも注が添えられているのですが、原題については本編を最後まで観れば「なるほどこれはたしかに”Sicario”の映画だ」と、原題の味わい深さを噛み締めるようになっているんですね。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の前作『プリズナーズ』でも、タイトルとなっている”プリズナーズ(看守たち)”とは一体誰を指しているのか、というタイトルの味わい深さがあったけれど、今回の『Sicario』にも通じる部分があり、だからこそ本編序盤ではなく、ラストカットで”SICARIO”の文字が出てエンドロールが流れるのは作り手の意図ある証拠でしょう。

一方の邦題『ボーダーライン』も、原題からの改変としてはここ最近の洋画界でも珍しく良いタイトルだな〜と思った。
麻薬の密輸ルートとなるアメリカ・メキシコ間の”国境”や、まっすぐな正義を通すケイト(エミリー・ブラント)と闇を抱える男アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)の考え方の違い、FBIとCIA、さらには”善悪”など、様々な”ボーダー”が劇中描かれ、観客の常識・倫理観を試すようになっている。

本作で描かれる麻薬カルテルのハードな局面や醜い正義などは本国アメリカに比べると、ここ日本は馴染みの薄い状況にあると思うので、原題『Sicario』よりも『ボーダーライン』の方が日本人としてはよりしっくり映画の重いテーマの部分を突き付けるタイトルになっているな〜と。

前回の予習編でもご紹介した通り、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の描く資質・テーマ性にも『ボーダーライン』という邦題は合っているんじゃないかと思います。

ちなみに、日本版ポスターより本国版ポスターの方がおしゃれですね〜。
日本版パンフレットには採用されているのですが、本作の異様な雰囲気が出ていてグッドです!
『複製された男』といい、なんで本国版ポスターっておしゃれなのが多いんですかね〜。
日本も悪く無いのですが、、アートワークというより宣伝資材としての情報量が多い印象が強いんですよね。。

  • sicario ボーダーライン
  • sicario ボーダーライン

エネルギッシュと不穏が交じり合う圧巻の演技

さて、そんな本作の主要キャラは3人。

理路整然とした正義を貫くFBI捜査官ケイト

ボーダーライン ケイト

誘拐犯対策の捜査をしていたFBI捜査官のケイトは映画序盤、乗り込んだ家が麻薬カルテルの魔の手を受けた凄惨な現場を目にするのですが、その凄惨さたるや予告編でも流れるのですが、結構エグかったですね。。

幸か不幸か、この経験を経てCIAのジョシュ・ブローリン演じるマットから麻薬カルテルのボスを逮捕する仕事への協力を依頼されるようになるのですが、ケイト自身のFBI捜査官という立場上、悲惨な現場の最前線に立ちつつも、悪の根源を捕らえることができない、という麻薬カルテルにおける捜査権限の限界を感じたことと、まっすぐな正義感が重なってCIA流の麻薬捜査の世界に反発しつつも魅せられていくんですね。

そんなエミリー・ブラント、現在まだ33歳なんですね〜。飛ぶ鳥を落とす勢いといいますか、完全に油乗ってる時期ですよね。
ミュージカルやるは激しいアクションこなすは。『プラダを着た悪魔』(2006年)で”ちょっと残念な女性”を演じていたのがまだ20歳そこそこの頃だっただなんて…。おそろしい笑

多くを語らず、コトを運ぶ男マット

ボーダーライン
この、マットのちょっと常に余裕ぶってそうな笑みが絶妙に腹立つんですよね〜。笑

マットの麻薬カルテルの解決方法はいわゆる悪を悪で制す的なやり方に近いものを感じる。
結局、麻薬カルテルを武力的に完全制圧させることはできない。なので、犯罪の中心地をアメリカ国内から国境へ、国境からメキシコ国内へ、とずらしていき、連立している麻薬カルテル同士を抗争させることでアメリカへ犯罪を流し込む麻薬カルテルという存在自体を無くそうとしている。

そのためには民間地でも平気で傭兵たちは制圧に動き出し、幹部からはボスの居場所を引き出すために拷問を行うなど、FBI畑で育ったケイトには信じがたい正義を行使する。

本作でマット演じたジョシュ・ブローリンは、この前に『エベレスト 3D』で今回こそとエベレスト登頂を目指す登山家役を演じたのですが、『エベレスト 3D』での非常に厳しい環境での撮影を行ったアドレナリンの高さが残っていたこともあって今回『ボーダーライン』のオファーも受けたんだとか。笑

身を引き裂く想いを隠し”狼の街”を生きる男アレハンドロ

ボーダーライン アレハンドロ

「『ボーダーライン』という邦題でも良いんじゃないですかね」的なことは先述の通りなのですが、もうひとつ邦題でも良いのでは?と思う理由がこの男、アレハンドロの存在です。

ベニチオ自身もアカデミー賞助演男優賞に輝いたスティーブン・ソダーバーグ監督作『トラフィック』(2000年)ではメキシコの捜査官を演じ、オリバー・ストーン監督作『野蛮なやつら/SAVGES』ではちょっと頭おかしい、キレさせるとやばそうな麻薬組織の殺し屋、最新作『エスコバル/楽園の掟』ではコロンビアカルテルの実在の麻薬王を演じるなど、なにかと麻薬犯罪に絡んだ作品の多いベニチオ・デル・トロ。笑

本作『ボーダーライン』では身内の復讐をするためにコロンビアのカルテルに属すことでメキシコ側のカルテルを潰そうとする、という一癖も二癖もありそうな闇の深い男を演じているのですが、何を隠そう、このアレハンドロこそが原題”Sicario(=殺し屋)”の1人を示しているんですね。
だからこそ『Sicario』という原題のままだと、この映画の主軸が誰にあるかということもより鮮明になってしまって、ケイトとアレハンドロ、という2人の対比もちょっと崩れちゃうかな〜と思ったんですよね。

とはいえ、今回アレハンドロは原題が暗示しているぐらい、後半がらりと映画の構成が変わる”ある展開”が訪れるのですが、その展開以降一気にアレハンドロが観客を魅せていくんですよね〜。

そしてそれまでCIAの行う正義に懐疑心を抱きながらもついて行ったケイトに「小さな町に行って静かに暮らした方が良い。ここは狼の街だ」と突き放す。
その言葉に秘めた彼の真意はなんだろうか。
渋すぎるだろアレハンドロ。。。

並々ならぬ違和感を作る演出

後半で構成が変わるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督

先ほど少し触れましたがこの映画、さすがはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、劇映画としてはとても不思議な構成をしているんですよ。
出来るだけネタバレはしないように伝えると、“視点の転換”が起きるんですね。

それまでは麻薬カルテルの実状なんて右も左も知らない、それこそ我々観客側の共感を得る存在としてのケイトが一応の主人公として物語が進んでいたのですが、中盤、衝撃的なある展開を機にアレハンドロの視点になるんですね。
ここがこの映画が終始持つ不穏な雰囲気と、アレハンドロが抱える闇の部分とで相まって観終わったあと、非常に味わい深い印象を受けるんですよ〜。

不安感を煽るヨハン・ヨハンセンの音楽

これは誰もがうなるところかと思いますが、ヴィルヌーヴ監督前作から引き続き起用されたヨハン・ヨハンセンの音楽ですが、今回はもう映画冒頭の会社ロゴが出た時点から重低音鳴り響き、映画が終わるまで終始緊張感が絶えず続くんですね。

特に劇中何度となく流れる「The Beast」という曲がですね、ずっとハラワタ掴まれたような感覚に襲われ、映画が突き付ける厳しい状況をより効果的に魅せることが出来ていると思うんですね。

フアレスの街の俯瞰から伝わる異質感

今回、ヴィルヌーヴ監督の前作と同様、撮影監督には名匠ロジャー・ディーキンスが務めているのですが、ショットの引きとアップの使い方がコントラスト利いてて良かったですね〜。

特にフアレスという今回の映画の舞台となる街並みを俯瞰で捉えるショットがあるのですが、その直前までケイトの目線でフアレスの何か起きそうな悲惨な現状を映したあとで俯瞰されるので、まるでこの街全体がある種、犯罪に満ちた街であると示すに十分な異質な雰囲気が漂うんですね。

このヴィルヌーヴ監督とロジャー・ディーキンスの2人は今後、あの『ブレードランナー』続編でもコンビを組むことが決まっているので『プリズナーズ』から数えて3作目のコンビとなることからも、良い信頼関係が築かれているんだな〜と思います。

ただこの『ボーダーライン』、続編化が決まっているとのことで、既に主要の3人は続投決定!なんですが、ヴィルヌーヴ監督とロジャー・ディーキンスは『ブレードランナー』続編への参加が決まっているので、そこだけ決まっていないのが不安ですな。。。

はい、という訳でエンタテインメント作品としても面白さ十分の演出を持ちながらも、それでいてフィクションとはいえ映画が突き付ける現状の厳しさへのメッセージ性の冷徹さと複雑さも持っていて”麻薬カルテル”映画としても非常に楽しめる、観るべき1作になっていると思います。
おすすめです!

ではでは〜。


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